キャプチャー アンド デリート
先日、公園を散歩していると小さなカラスを見かけました。そのカラスはスーッと低く飛び、水飲み場の蛇口の上に留まりました。するとお辞儀をするように頭を下げ、水を飲むかのようにくちばしを蛇口に当てると、またすぐにどこかへ飛んでいきました。そこへ大きなカメラを抱えた男の人が、カラスを眺めていたわれわれの元にやって来ました。「今のカラスは珍しい種類のもので、、、」と少し興奮気味です。その人はかなり野鳥に詳しく、カメラに収めた数々の鳥の写真を見せながらしばらく説明してくれました。撮っても最終的には消してしまわれるので出てこない画像もあり、私にはそれが少し不思議でした。鳥を撮っては消す、この行為は何かに似ている。釣りでよくされている、釣っても食べずに水に返すキャッチ アンド リリースでしょうか。しかしそれは魚という生身のものを捉えて、それを自ら放してやるというもの。この人の場合は鳥という生きたもののデジタルなイメージを捉えて、それを削除するというキャプチャー アンド デリートと呼ぶべき手法だと言えます。
