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グリッド(格子)について

グリッドそのもの、あるいはそれを意識した形状が、いつしか自分の作品によく現れるようになっていました。今日はその謎に少し迫ってみます。美術の世界ではグリッドと言えば、目の前の三次元空間をキャンバスなどの二次元に再現するために生み出された、遠近法がまず思い浮かぶかと思います。しかし私のはそれとは関係がなく、むしろ織物のタテ糸とヨコ糸に類似したものと言えます。大学時代にテキスタイルを専攻し、織りをはじめとする伝統的に手工芸と呼ばれるさまざまな技法を学びました。その時に得た物作りの感覚が今なお抜けていないと感じます。その感覚が、どう言うものであるのかを織物を例にとって簡単に説明します。
まずタテ糸を張り、次にヨコ糸を徐々に入れていくことによってグリッド状の構造体ができてきます。ヨコ糸に工夫を加えることによって多様な表現が可能となり、結果として地の構造体が変化して見えたりします。しかしこの「地」がたとえ隠れていても表の表現と密接にかかわっています。それはキャンバスがあらかじめ用意されていて、そこへ自由に描いていくと言う一般的な絵画的手法とは根本的に違うものです。まず構造体を設定し、それを利用して表現すると言うのが上記で述べたテキスタイル的感覚だと言えます。その手法をあえて工芸と言うコンテクストから切り離し、ドローイングに応用したのが私の作品です。その中でグリッドはベースや前提、規律やロジックといったものを表しています。それに忠実でありながらも、逸脱していく要素を表現するのが一つの狙いでもあります。


シリーズ「マッチ箱公園」のための展開図



シリーズ 「アミダ画」より



シリーズ「折もの」より
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