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過去のアトリエの思い出 ー布団工場とヤシの葉

更新日:2021年12月6日

アトリエの引っ越し準備をしながら、これまでお世話になった数々のアトリエを回想しました。忘れもしない初めてのアトリエは徳島でした。巨大なその空間は元布団工場で、当時まだ知り合ったばかりの彫刻をしている友人が借りていたその場所をシェアしようと誘ってくれたのでした。吉野川の河川敷に面したそのアトリエはロケーションといい、広々とした空間といいアーチストの夢のようなものでした。そこで私は自分で拾い集めた自然素材を使って立体などを制作しました。中でもお気に入りだった素材は街路樹のヤシの葉で、道に落ちたその姿は巨大な腕を思わせました。1メーターを超すそれら茎付きの葉を車に詰め込み、いそいそと布団工場へと運び込み加工するといった流れがいつしか出来上がっていました。まるで野菜の下ごしらえのようにまず茎と葉に切り分けそれぞれを加工していき、茎の一番太い部分はしばらく水に漬けてから丈夫な繊維を取り出すといった工程にやりがいを感じたものです。作風は変わりましたが、素材探求と制作プロセス重視なのは昔も今も変わりません。


「杵と瞑想」1997, 200 x Ø20cm, やしの葉、木綿糸
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